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事務所より 高齢者権利擁護

訪問セールスにご留意を

こんにちは、今回は、事務所近隣であったことを記します。事務所近隣で独居の高齢者のお宅に、屋根の修繕業者が、訪問セールスに訪れたそうです。

鉄塔に登り、上から見ていたら、お宅の屋根瓦が位置ずれを起こしている。このまま放置すると屋根から雨漏りをする危険性があるかもしれないと、冒頭に説明があったようです。

そのお宅の近隣には、確かに送電線の鉄塔が存在し、高齢者は、確かに作業をしていた気配はあったが、その方々だったかどうかわからないとおっしゃっていて、鉄塔に上がって作業ができる業者かどうかは、そのときは、業者の名刺も見ることができなかったので、ひとまずは相手の言っていることを疑うことは、時期尚早だと私も判断しました。後にその判断が誤っていたことも判明しますが後に記します。

私は、突然、高齢者から呼び出しを受け、話し合いの場に顔を出し、聞いてみると、上記のことを業者から告げられ、屋根に上がらせてもらい診てみたら、一番高いところの屋根瓦がずれている、瓦を止めている針金も腐食していて、直すことが必要、と説明がありました。

先の説明だけでは状況が掴みきれなかったのですが、私が突然現れたことによって、受注が難しいと判断したのか、「作業が完了した後の不具合について担保できない。」、「当社は、大手ゼネコンから下請けで仕事をしていることが常であり、通常は応じられない。」と 営業行為の常套句からはかけ離れた言葉を並べ立て、いったい何しにきたのかという疑念を抱きました。

全てを疑うことは、時期尚早かもしれないし、もしかしたら事実かもしれないと判断し、では見積もりをお願いしたいと言って、一週間後に再開することになりました。

一週間後の再来、お断りしました

見積もり提示を受ける日を迎え、定刻になっても業者は現れず、指定した時間から45分遅れること、私も高齢者のお宅から引き上げようかなと思っていたときに、その業者が、再び現れました。見積もりを持ってきたと言い、高齢者が、「身内に業者がいて…。」と話を切り出したら、「では、その業者にみてもらってください。その業者から見積もりを入手していただいて、その上で、こちらも同席の上で、こちらが準備した見積もりを提示します。」と業者は、言いました。要するに詳細は、見せないということでした。ただ金額だけは、提示を受け、具体的な工期も決めた上での金額ですと言い放ったので、こちらは、高齢者にとって、簡単に支払える金額ではないので、今すぐに、注文することはできない、確認することが必要です。と言ったところ、それでも見積書の詳細は見せることはできないと言われました。

その高齢者は、断ることありきで話を切り出したかったようでしたが、まずは見積もりをみて、それから注文するかどうか決めれば良いと思っていた私は、なんだか 残念だなと思いましたが、高齢者が意思を表示した以上、お断りのダメ出しの一言、「ではお引き取りを!」と発言しました。その発言を受け、それまで穏やかに発言していた業者が血相を変え、「あんたに話をしてるんじゃない、〇〇さん(高齢者)その人と話をしてるんだ。」と言い放ったので、こちらも「私は、この人から全権委任を受けている。」、業者は、「こちらは、〇〇さんと(直接)やりとりをさせてもらう。」と言い張ったので、こちらは警告のつもりで、「だから、全権委任を受けている。」と再度強く言ったところ、本当に間が悪くなったのか、業者は、「では、〇〇さん、連絡くださいね!」と負け惜しみのような挨拶をして立ち去って行きました。

事情に漬け込んですり寄ってくる

再度、高齢者に、ことの顛末について確認したところ、その業者は、二人組でやってきて、上記のような冒頭の説明をし、確認に3千円と言われ、少額だから大丈夫だろうとおもって、業者が持参した長梯をかけさせ、自身は登ることもなく、業者だけが屋根に上り、写真を撮って降りてきて、やはり曲がっているから修繕が必要、作業に数十万円かかるという説明があったようです。金額を上昇に対し驚いたことと追加作業が生じるかもしれないと感じたのか、怖くなり、冷静になってこのことを判断したいため、私を呼び出したというものでした。

確認のために3千円の費用の話、確認後数十万円の費用がかかると言われたことは、2回目の業者訪問し立ち去るまでに聞かされていたわけではないため、そんなやりとりがあったことが、後で聞かされたことに衝撃を受けました。

鉄塔に登れる権限は?

よくよく考えると、訪れた業者は、私が接触したときに、鉄塔に登ってそこから眺めていたら、気になったので声を掛けたとのことでしたが、訪れたときの風貌は、東京電力の関連会社特有の風貌からはかけ離れ、住宅建設時の鳶職の格好をした職人風の男と現場監督の作業着をきた男の出で立ちであり、そのことばは信用に値するだろうかと疑念を抱きました。たまたま名刺を業者は残していったので、調べてみると、屋根葺および建物外壁の塗装を手掛けている数年前に法人なりしたと思われる船橋市の業者でした。そうすると送電保守に関わっている説明とはかけ離れた事業を展開をしており、もはや冒頭に説明を受けた言葉に信憑性は担保しないと判断しました。

業者が立ち去った後、高齢者は、改めて断る発言をしっかりして、ご自身の気持ちに決め打ちをしたいと言っていましたが、嘘をついている業者に対してまで、ご自身の心情だけで曖昧にしている気持ちに整理をつけるために、電話して連絡することは、適切ではないと助言しました。気持ちは分からなくもないですが、お互いにとって無意味なことをすることは時間の無駄であり、言い放ったところで、虚しさが漂うだけですよ、そんな時間を過ごすくらいならもっと楽しいことをなさったらどうですかと助言しました。

ご留意を

近頃、作業に関する業務の訪問セールスが流行っていて、費用について説明不足、見積もりから注文を急がせるように仕向ける行為、そもそも所有者自身が容易に確認できないことに漬け込み、強引な営業を仕掛けてくる行為が多発しています。

同業者と話をしましたが、もはや知り合いの業者にしか、怖くて頼めないという意見で一致しました。

それから、当職が感じたことですが、やはり高齢者にとって普段から近所付きあいが大事だと感じます。特に長くその地に住み続け、お隣さんと信頼関係が築けているのであれば、よく分からない通りすがりの業者がやってきたとしても、お隣さんや近隣の頼れる地域の人たちに業者訪問時に声をかけ、自身が置かれている状況や判断は適切なのか、客観的に緩やかにみてもらえるだけでも、随分違うと思います。訪れた業者がどのような人なのかを客観的に冷静になって判断することもできるはずだと思います。

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会社・法人・企業法務

会社法人代表者住所のこと

こんにちは 今回は、令和6年10月1日に施行する商業法人登記の代表取締役住所非表示措置に関することを記します。

本ブログで記している段階では未施行でありますが よほどのことがない限り変わることがないと思われます

既登記の代表者の住所は?

残念なことですが、既に登記されている代表者の住所は、登記事項証明書および登記情報について、非表示にすることはできないこととなっています。

法務省のwebページでは 制度の概要が冒頭に記されているのですが、そのすぐ後ろに、「注意」の記載があります。

代表者の配慮と取引の安全の均衡

さて代表者住所は、登記事項であり、所定の手数料を支払えば、登記事項証明書または登記情報を誰でも入手可能な情報です。故に新たな取引等で関係に入る際に、登記事項証明書を入手し、相手方の存在はもとより、どの様な会社法人なのか、広義な意味では、これから関わる会社法人(社団)は、どの様な団体なのか?を知ることができ、代表者がどなたなのか、資本金などから与信はどうなのか、掛け取引をするにしても、相手方はどれほどの担保ができるのだろうかなど、単に登記しておけば良いでしょ!、というものではなく、相手方からみれば、逐一真正面から尋ねることもせずに、知ることができます。なんだか情報を与えてばかりに思われがちですが、一方で、代表者以外の人物は、会社法人の代表者ではないと言えます。勇退する役員の挨拶状を送付するという習慣がありますが、なんらかしらの事情で、お辞めになった役員や元代表者のことまで、会社は挨拶状を取引相手に逐一通知していたのでは、円滑な取引が期待できるものではありません。故に、商いをする以上、取引関係に入る前に登記事項を確認することはむしろ当たり前なことだ理解してほしいと感じます。
 さらに留意してほしいこと、例えば、退任した元代表者であった役員が、在籍していた会社を騙って取引したとしても、当該取引よりも前に退任登記をしてあれば、当該会社は、騙された相手方から請求されても、義務を負わないものとなります。この登記申請の義務を怠り放置していると、賠償責任を負わされる可能性もあります。

商業法人登記制度の趣旨

そもそも、なぜ登記制度を設けているのか、ですが、取引関係に入る前に登記されている事項は、知っておかなければいけない。登記することにより、取引の相手方が登記事項を見ている見ていないにかかわらず、見ているものと看做し、物事を進め、取引を円滑に進めるための制度です。商業法人登記制度は、不動産登記のように権利に対する対抗要件を付与するのではなく、取引の相手方に対し、自身の会社法人について登記されている事項を知っているものと看做す(このことを講学的には「悪意擬制」と呼んでいます。この「悪意」は害意ではなく、「ある事実について知っている」の意味です。)法律上の効果があるのです。

住所非表示措置の要件

改めて代表者の住所非表示措置の要件ですが、登記される代表者の住所に関するまたは住所も登記事項となる登記申請の場合で、申請と同時に申出をしなければなりません。登記されてから、非表示にしてくださいはできないのです。

登記される代表者が住所に関するまたは住所についても登記事項となる登記申請の場合

例えば、設立の登記、代表取締役の就任登記、代表者の住所移転による変更の登記の登記申請などです。

所定の書面の添付を要求

申出に際し、書面の添付が必要です。なお上場会会社と上場会社以外の株式会社によって違いますが、ここでは、上場会社以外の株式会社について、記します。

原則3種類の書類が必要です。

  1. 会社が受取人として記載された書面がその本店の所在場所に宛てて配達証明郵便により送付されたことを証する書面
  2. 代表取締役等の氏名及び住所が記載されている市町村長等による証明書(例えば、住民票の写しなど)
  3. 株式会社の実質的支配者の本人特定事項を証する書面(資格者代理人の法令に基づく確認の結果を記載した書面など)

なお、すでに代表取締役等住所非表示措置が講じられている場合は、2つ目の書類のみの添付で足ります。また会社が一定期間内に、実質的支配者リストの保管の申出をしている場合は、3つ目の添付は不要となります。

非表示措置がされた登記事項

非表示措置が講じられた場合、代表者の住所は、最小行政区画までしか記載されないこととなります。例えば、「千葉県白井市」の記載までに止まります。なお、東京都の特別区はその特別区まで、指定都市は区までの記載となります。

非表示措置が終了することも

措置が講じられた会社法人の登記ですが、措置が終了二つの事象があります。

  1. 措置が講じられた会社から措置を希望しない旨の申出があった場合
  2. 措置が講じられた会社法人が本店所在場所に実在しないことが認められた場合

これらの事象があった場合は、登記官は職権で当該措置を終了させることができます。なお、申し出による場合は、必ずしも登記申請と同時である必要はなく、単独で申し出ることができます。

登記申請の専門家からみた代表者住所非表示制度のこと

本職がみた、この代表者住所非表示の制度ですが、上場企業において、創業者が完全に勇退した事象まで成長企業は、大多数の株主とくに個人投資家はその典型ですが、個々の代表者について希薄な感情しかもっていないこともあること、その本店所在場所について、会社法のみならず金融商品取引法によって、その上場企業である以上、十分担保されると考えます。一方、上場企業ではない会社法人について、その事業に対する姿勢は、代表者・経営者の人となりが担保になり得ます。その代表者の住所を登記によって公示しないことがどう評価されるのか、もはや予測できないこととなります。

また登記とは直接関係ありませんが、金融機関と取引を考えている場合、与信の観点から、代表者の住所を把握する場合もありうるため、登記事項証明書とは別に、会社の印鑑証明書の提出を早々求められることになることが、十分考えられます。そうすると代表者の住所の記載がある登記事項証明書一通を提出するだけ事足りる段階であるにも関わらず、代表者住所非表示の措置をしたために、登記事項証明書のみならず、印鑑証明書の提出も求められることとなります。抵抗感がない方にとっては、それでも良いのかもしれませんが、まだ契約書の記入を求められてもいないのに相手に印鑑印影を手渡すことに抵抗を覚える方にとっては、とっても不快感を覚えると思われます。

登記申請にあたり考えられる対応

まず商業法人登記申請について、設立登記申請では、代表者住所非表示の申出は、依頼があれば対応できないわけではなりませんが、既に代表者住所非表示がされた会社法人の変更登記申請では、本人確認の観点から対応は難しくなるだろうと考えます。先に対応した司法書士事務所に変更登記についても依頼した方がより円滑に対応できると想像できます。もし先の事務所に依頼せず、他の事務所に依頼した場合は、代表者の本人確認のため、会社の印鑑証明書の提出をを求められることとなります。

また不動産登記申請手続に対しては本人確認をすることがより難しくなります。通常の本人確認手続に加え、会社法人の印鑑証明書の提出を求められることが想像されます。

まとめ

以上、令和6年10月1日施行なのでもう少し先のことの様に思われますが、記している段階で半年もない状況です。もしも代表者住所について、非表示にすることをお考えになっているのであれば、熟慮を重ねた上で、申出をするしないを決めていただきたいものです。

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不動産登記申請 民事信託・遺言・後見・相続

相続登記義務化のこと4

こんばんは、相続登記申請の義務化のことについて、もう少し気になったことがあったので、追記したいと思います。

これまで、相続登記申請義務化のことを記事していますので、先の投稿も以下のリンクから、ご覧いただければと思います。

過料の制裁について

小見出しにも記したとおり、今回は、過料の制裁について、記したいと思います。

法令では、義務を怠った場合、金10万円以下の過料(過ち料)の制裁を裁判所から受けることとなります。

法務局では、正当な理由がなければ、例外なく裁判所に送付する扱いとなります。正当な理由となるのかどうかの判断について、法務局の登記官の裁量がどれほど設けられるのか、計りかねますが、謂わば、行政の処分についても平等原則がはたらくと考えると、見逃されることは、まず考えられないと考えます。

さて、今の段階で分かっていることとしては、『登記官が、「不動産登記法の規定による申請をすべき義務に違反して不動産登記法の規定により過料に処せられるべき者があることを職務上知ったときは、これらの申請義務に違反した者に対し相当の期間を定めてその申請をすべき旨を催告(以下「申請の催告」という。)し、それにもかかわらず、その期間内にその申請がされないときに限り、遅滞なく、管轄地方裁判所にその事件を通知(以下「過料通知」という。)をしなければならない。』となるようです。

申請の催告が考えられる事象

この申請の催告が考えらえれる事象ですが、主たる土地と自宅たる建物については、相続登記を申請したが、他の不動産については、登記申請を遺漏している、または意図的に申請をしていない場合が考えられます。

過去の実務経験より

過去に扱った事案ですが、意図的に、道路部分や山林について、登記申請をしないという相談者がいたり、道路部分の土地について共有者であることに気がつかない相談者もいらっしゃいました。

依頼者から「相続したくない不動産は捨ててしまえばよい」

当時は、ようやく相続登記の重要性が、再認識され始めていた最中、マスコミや週刊誌で「捨てられる不動産」という言葉が踊っていた頃に受託した案件で、申請したくない不動産について、書類が独立している場合は当職に見せない、共通して情報が搭載されている物件については、黒塗りをして当職に情報を開示しない方でした。その事案は、全部ではありませんでしたが、登録免許税の算定に必要な不動産の価格を証明する書面を取り寄せたところ、情報を開示されなかった道路部分の記載があったので、その部分については、相続登記申請に盛り込むことができましたが、他の山林等は、他の市区町村にあったようでしたが、結局探知することはありませんでした。もっとも職務上、それらの物件は、相続登記申請の委任を受けたわけでもなければ、依頼もないのに調査をすることが職責上許されるわけでもないので、登記申請をしなくても、義務化された場合、遅かれ早かれ法務局もしくは国家から通知が来ますよという忠告をしたことをよく覚えています。

評価上非課税として扱われ共有不動産

土地・建物について評価額があれば、評価証明書に記載事項であるので、ほぼ間違いなく掲載されますが、非課税扱いとされる道路敷として課税上の地目で登録されている土地は、課税行政庁が一方的に把握している代表共有者以外の共有者について見落とされることが多く、漫然と請求した場合、評価証明書に記載されないことがあります。

上記、二つの事象を見てきましたが、何れにしても、相続手続きをして登記を申請したのに、過料の制裁を受ける可能性がある事象であるといえます。対象となっている不動産について、よくよく確認すべきと感じます。

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事務所より

費用報酬のこと

こんばんは、今回は、「費用報酬」のことを取り上げたいと思います。

費用の見積

まず費用について記します。費用とは、いわば、誰に頼んでも必要な経費のことであり、ご自身で申請したり、申立てをする際に、行政庁、裁判所に支払う金額だったり、小為替の振り出しにかかる費用だったり、郵送手続きで支払う金額を指します。不動産登記申請、商業法人登記申請であれば、登録免許税も費用に位置付けられます。

費用の算定に必要なもの

費用の算定に必要な資料等ですが、不動産登記においては、所有権移転であれば固定資産評価証明書が、抵当権抹消ならば、その担保権の設定契約書が、登記名義人の住所変更、氏名変更であれば変更する必要のある不動産の数の存在を表す書類(該当する不動産登記事項証明書および登記上の住所から、現在の住所までの繋がりを証明できる書面)が必要になります。

費用の算定に必要なものがなければ、見積もれない

電話越しで、いくらですか?とよく聞かれますが、電話越しでは、正直わかりません。

例えば、電話でお寿司屋さんに料理の注文をする際に、手元にメニュー表があれば、そのメニュー表を見ながら注文することになろうかと思います。ただそれにしても、注文者が、その料理を食す人たちの数は、一人一人がどれくらい召し上がるのか、その分量は、品質をどれくらい求めるのかによって、必要な費用も変化するはずです。

私たちの報酬も、何をどこまでのサービスを求めているのか? そもそも、電話をいただいて、二言目の時点で、どのような事象・段階に物事が進行しているのか、皆目見当がつかないため、お答えすることができないのが実情です。

判らなければ概算は高額に

費用報酬を見積もるに当たって、その材料が提供されなければ、こちらも想像でしか、回答することができないため、一般的に高額な費用報酬金額を提示せざるを得ません。

他の同業者や葬儀業者とタイアップしている同業者による いわばおとり広告のように、「数万円」うしろに小さく「から」という文言がよく振られていたりもします。基本的に、登記申請のみであって、確認すべき事項が何もなく、単に提出し、委任事務終了後、必要関係書類の引き渡しのみであれば、本当に安く対応する場合もありうると思いますが、そのような事案は、はっきり言って皆無に等しいものです。提出する準備が調っているのかというとまずそんなこともありません。大抵は、何かしらの手続きが必要なことがあります。

費用報酬を明確にする方法

それでは、費用報酬を、明確にする方法は、ないのか?というとそんなことはありません。間違いなく存在します。それは、しっかりと委任するために、材料を準備することです。不動産登記申請ならば、固定資産の評価証明書、相続手続きならば必要なすべての戸籍謄本等の相続証明書、遺産分割協議書、裁判事務で、民事訴訟ならば請求することができる原因が記された契約書、家事事件手続き、例えば離婚後の財産分与等の裁判事務または不動産登記申請ならば、戸籍謄本、不動産権利証、固定資産評価証明書の必要関係書類の提示があれば、具体的な見積もり金額を提示することができます。

見積もるための材料がないところで、費用はいくらですかと問われても、答えようがありません。必要関係書類をご準備の上、問い合わせされることをお勧めいたします。

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不動産登記申請 民事信託・遺言・後見・相続

相続登記義務化のこと3

今回は、今年の4月より「相続登記の義務化」のことを継続して取り上げています

関連記事のリンクを、以下に貼り付けましたので、まだご覧になっていない方は、目を通していただければ幸いです。

申出たことによる効果?

前回でも触れましたが、申出・申告したことによって、不動産登記法上の相続登記申請について義務懈怠(義務履行をしないこと)による過料の制裁は、免れます。しかしそれだけで安心していいのでしょうか?

登記簿の記載について

申告したことによって、「登記官は、(途中省略)その旨の登記をすることができる。」と不動産登記法にあります。法令の文言によると登記官の裁量によって、登記するしないのように読めそうですが、おそらく登記することとなると思われます。

主登記ではありません

ただ、この申告したことによる登記は、主登記でなされません。不動産登記法上で主登記でなされない以上、権利の移転があったことによる登記が反映されるわけでもなければ、共同相続人が他に存在する場合、所有権を第三者に確定的に主張することができないことに変わりはありません。相続分に該当する持分についてのみ主張できるに留まります。

申告登記による反射的効果の可能性について

相続人間の権利関係は、この申告の登記をしたからといって、なにも状況は変わりません。相続人と法務局との間では、ひとまず法定相続による登記をしなかったからといって、この申し出をしたことで、過料の制裁を免れるにと留まり、その後、遺産の分割によって相続し、不動産を取得した場合は、改めて、相続登記の申請の義務を負います。

では申し出により、付記登記がされると、先にも記しましたが、この付記登記とは、相続人の申し出をした相続人の住所氏名が登記されることとなります。もっともドメスティックバイオレンス等の被害を受けている方が、対象者であった場合は、その申し出の際に、法務局にその旨も併せて申し出をすれば、代替措置をするそうですが、原則、住所氏名は登記されます。

登記されるということは、取引利害関係にない第三者はもちろん国家行政、地方自治体も登記を閲覧することができます。

登記を確認できる者

先に挙げた者以外でも、手数料を支払えば不動産仲介業者をはじめ誰でも登記を確認することができます。

事実上の問い合わせ窓口に

私が、懸念していることとして、実は、付記登記を受けたことによって、一部の相続人の存在が具体的に、明らかにされます。先にも記したとおり、登記上、住所氏名が記される以上、相隣関係のことで、不動産に関して利害関係を持っていらっしゃる第三者、例えば、お隣さん等から問い合わせがよりしやすくなります。

 これまで、被相続人の登記名義人である以上、相手方は、本腰を入れて、対処したいと思わない限り、相隣関係の問題を解決するには、それ相応にいくつものハードルを越えなければならず、涙ぐましいことが多々ありました。まず相手方を調べるには、それ相応の書類を揃えなければならず、その上で、自治体へ戸籍住民票を請求する。もしくは、先に裁判所に申し立てをして、その後、受け付けられた訴状等の控えをもって、自治体に戸籍住民票を請求して、相手方を特定することが行われてきました。それまで苦労した上で、本腰を入れた上で、問い合わせをしてきたわけですが、法律の施行後は、相隣関係の対応の仕方も変わり、そして、相続の対象となっている不動産について付記登記された相続人に相隣関係の問題の解決を迫られることとなるでしょう。遺産の分割が成立していない以上、被相続人が負っていた債務は、相続人間で分割しても、その内容によって、相続人間で求償権を取得するにとどまるだけで、債権者に対しては、対抗することができません。ゆえに この申し出によって、登記官による付記登記がされることについて、過料の制裁を免れる反面、相隣関係の問題解決の矢面に立たされることになるような気がしてなりません。

やはり早期の相続手続を

こうしていろいろ記しましたが、やはり相続手続を速やかに行い、不動産を取得した相続人が、不動産にまつわる諸問題に対処することが大事なことだと思います。場合によりますが、良かれと思い申し出をしたことによって、付記登記が行われ、相続手続が完了していないのに、矢面に立たされることがありうかもしれません。相続により不動産を取得するつもりはないのに、どうしても場の空気という不思議な力が働き、勢い余って、申し出をしてしまい付記登記がされて、矢面に立たされることになる可能性もありえます。ぜひご留意いただきたいと思います。

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